@yuichirominato 2018.08.11更新 28views

non-stoquastic量子アニーリング

non-stoquastic 量子アニーリング

はじめに

現在の量子アニーリングをより速度向上を進めるような試みもあります。その中でnon-stoquasticモデルを見て見たいと思います。

量子アニーリングと横磁場イジングモデル

参考:「量子アニーリング、イジングモデルとフレームワーク」
http://blog.mdrft.com/post/6

基本的には最初に横磁場をかけて、自明な基底状態と呼ばれる状態から量子断熱計算で最終の求めたいコスト関数へ自然と移行し、基底状態を求める方法です。

古典の一般式は簡単に書いて、

$
H = -N\left(\frac{1}{N}\sum_{i=1}^N\sigma_i^z\right)^p
$

横磁場を導入した式は、

$
H(s) = -sN\left(\frac{1}{N}\sum_{i=1}^N\sigma_i^z\right)^p-(1-s)\sum_{i=1}^N\sigma_i^x
$

古典ハミルトニアンとの違いは、横磁場を導入するとsを0から1に変化させることによって、ハミルトニアンを入れ替えることができます。

そして、non-stoquasticハミルトニアンは、

$
H(s,\lambda) = -s\left[\lambda N\left(\frac{1}{N}\sum_{i=1}^N\sigma_i^z\right)^p – (1-\lambda)N \left(\frac{1}{N}\sum_i\sigma_i^x\right)^2\right]-(1-s)\sum_{i=1}^N\sigma_i^x
$

参考:
Exponential Enhancement of the Efficiency of Quantum Annealing by Non-Stochastic Hamiltonians
Hidetoshi Nishimori, Kabuki Takada
(Submitted on 13 Sep 2016 (v1), last revised 18 Feb 2017 (this version, v3))
https://arxiv.org/abs/1609.03785

こちらの式を現在のコンピュータでシミュレーションする際には量子モンテカルロ法と呼ばれるサンプリング方法で近似的に計算を行います。量子モンテカルロ法では上記式の$\sigma^x$が計算できませんが、そこは$\sigma^x$を数学的に近似計算し古典の$\sigma^z$に書き換えてから計算します。

量子モンテカルロのサンプリングの元となる分配関数を決めて、鈴木トロッタ展開より、

$
Z(\beta) = \sum_{\psi}\langle \psi \mid e^{-\beta\hat{H}} \mid \psi \rangle = Tre^{-\beta\hat{H}} = Tr(e^{-\frac{\beta}{m}\hat{H}_c}e^{-\frac{\beta}{m}\hat{H}_q}) + O(\frac{\beta^2}{m})
$

式展開した後の古典分配関数との比較で、採用したいハミルトニアンは、

$
H = -\frac{\beta}{m} \sum_{a=1}^{n}\sum_{i,j=1}^{n}\sum_{k=1}^{m}d_{i,j}\sigma_{i,a,k}^{z}\sigma_{j,a+1,k}^{z} +\frac{1}{2}\log{coth\biggl(\frac{\beta \Gamma}{m}\biggr)}\sum_{i,a=1}^{n}\sum_{k=1}^{m}\sigma_{i,a,k}^{z}\sigma_{i,a,k+1}^{z}
$

を用いることで古典ハミルトニアンに書き換えられて、モンテカルロ計算が行えます。上記横磁場イジングモデルにあった$\sigma^x$項が消えているのが確認できます。その代わりkという次元が1つ増えています。

速度向上のポイント

non-stoquasticハミルトニアンの導入の目的は計算速度の向上で、基底状態を連続的に確保したまま最終の基底解を得るための量子断熱計算の計算時間はエネルギーギャップ部分のアニール時間を評価することにより求まります。


相転移は準安定状態を持つ一次相転移と、それを持たない二次相転移に分類され、stoquasticハミルトニアンによる量子断熱計算では、一次相転移を経由する際に上記のエネルギーギャップが極めて小さくなり、計算に時間がかかります。

$
\tau = \frac{1}{(\Delta E)^2} \propto e^{2aN}
$

一方non-stoquasticハミルトニアンでは、一次相転移を回避して二次相転移を経由できれば大幅な時間短縮になります。

$
\tau = \frac{1}{(\Delta E)^2} \propto N^b \ll e^{2aN}
$

回避

論文中にわかりやすい図があります。導入する$\sigma^x$項の係数によって変わってきます。XXやXXXXXによって取りうるsや$\lambda$が変わってきそうです。

k=2 / XX

k=5 / XXXXX

まとめ

実機への実装も研究されており、負符号問題と呼ばれるモンテカルロでの実行の際に面倒なことになるので、現在の計算機で計算しにくいのは確かかと思います。速度向上が期待できるのはとてもいいですし、物理としても面白いと思います。

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