@yuichirominato 2018.08.28更新 119views

量子情報・量子ゲートに先駆けて簡単な量子力学のおさらい

ゲート シュレーディンガー 量子力学 量子情報

はじめに

自分は全く物理は専門ではないですが、ゲートモデルを扱う場合には波動関数というものがでてきます。特にシミュレーションを通じてゲートモデルの回路を評価する際には波動関数のイメージは持っておいた方が楽でしたので、高校の時にテストで行った量子力学くらいの知識で書きます。

参考図書

この分野はたまたま固体物理学のトポロジカル絶縁体を読んでいる時に学びました。参考図書は、

トポロジカル絶縁体入門 (KS物理専門書) 単行本(ソフトカバー) – 2014/7/10
安藤 陽一 (著)

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%88%E3%83%9D%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E7%B5%B6%E7%B8%81%E4%BD%93%E5%85%A5%E9%96%80-KS%E7%89%A9%E7%90%86%E5%B0%82%E9%96%80%E6%9B%B8-%E5%AE%89%E8%97%A4-%E9%99%BD%E4%B8%80/dp/406153288X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1530280494&sr=8-1&keywords=%E3%83%88%E3%83%9D%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E7%B5%B6%E7%B8%81%E4%BD%93%E5%85%A5%E9%96%80

こちらです。

物質波

物質は波であり粒子であるという二重性があります。こちらを確認します。

$p = \hbar k$

$p$は物質を粒子としてみたときの運動量、$\hbar$はプランク定数$h$を$2\pi$で割った係数、$k$は波数ベクトルと呼ばれるものです。

ドブロイの関係式

上記の式で波長$\lambda$と波数$k$の関係が$|k| = 2\pi/\lambda$よりドブロイの関係式と呼ばれる式が出ます。

$|p| = h/\lambda$

シュレーディンガー方程式

物質の波動を記述する波動方程式は、場所$x$と時間$t$、波数$k$、角振動数$\omega$から複素数を使って下記のようにかけます。

$
\Psi(x,t) = Ae^{i(kx-\omega t)}
$

上記式を時間$t$で微分し、プランクの量子仮説$E = h\nu = \hbar \omega$を適用して、

$
\frac{\partial}{\partial t}\Psi(x,t) = -i\omega \Psi(x,t)\\
i\hbar \frac{\partial}{\partial t}\Psi(x,t) = \hbar \omega \Psi(x,t) = E \Psi(x,t)
$

また、最初の式を$x$で二階微分して、運動エネルギーの式と組み合わせると、

$
\frac{\partial^2}{\partial x^2}\Psi(x,t) = -k^2\Psi(x,t)\\
E = \frac{p^2}{2m} = \frac{\hbar^2 k^2}{2m}\\
E\Psi(x,t) = \frac{\hbar^2}{2m}k^2\Psi(x,t)=-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\partial^2}{\partial x^2}\Psi(x,t)
$

さらに組み合わせるとシュレーディンガー方程式が導出されます。

$
i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\Psi(x,t) = -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\partial^2}{\partial x^2}\Psi(x,t)
$

時間によらないシュレーディンガー方程式

シュレーディンガー方程式をまず三次元に拡張してポテンシャル$V(r,t)$を加えて下記のようにかける。

$
i\hbar \frac{\partial}{\partial t}\Psi(r,t) = -\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2\Psi(r,t)+V(r,t)\Psi(r,t)
$

ゲートマシンなどは閉鎖系でチップに外部環境の影響を除外しようとしているので、ポテンシャル$V(r)$は時間で変化しないと仮定すると、波動関数は時間$t$による部分と場所$x$による部分に分離でき、

$
\Psi(r,t) = f(t)\Psi(r)\\
\frac{i\hbar}{f(t)}\frac{d}{dt}f(t) = \frac{1}{\Psi(r)}\bigl[-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2\Psi(r)+V(r)\Psi(r) \bigr]
$

左辺を定数$E$とすると右辺からは時間非依存のシュレーディンガー方程式が得られる。

$
-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2\Psi(r)+V(r)\Psi(r) = E\Psi(r)
$

解いてみましたが、結局ゲートマシンを物性をやったり、ハードウェアを作らない限りはここら辺は一度導出しておけばいいみたいで、実際にはディラック記法と呼ばれる書き方を使って、このような方程式はあまり使わないようです。

量子情報

量子情報という分野があり、量子コンピュータに関連しているようです。少しずつまとめていきたいと思います。参考図書は宇津木健氏の資料を基にしました。

量子ビットの表現

量子ビットは、0と1が下記のように表現されます。状態ベクトルと呼ばれるベクトルを使います。

$
\mid 0 \rangle = \left(
\begin{array}{c}
0 \\
1 \\
\end{array}
\right)
,\mid 1 \rangle = \left(
\begin{array}{c}
1 \\
0 \\
\end{array}
\right)
$

計算基底

計算規定は計算の一番基本となる単位で、通常はZ軸上で0と1で表現されます。Z軸上ではなくXY平面上に状態ベクトルがある場合には、Z軸上での計算規定で取り出すと正しく答えが取り出せないのでX軸上の基底なども使います。

$\mid 0 \rangle$とか$\mid 1 \rangle$とか。これはZ軸上に計算基底を取っている。
$\mid + \rangle$とか$\mid – \rangle$は、X軸上に計算規定を取っています。計算によっては+の計算規定でないと計算結果が取り出せないこともあります。

量子状態

量子ビットは量子状態という状態で計算され、数学的にはその量子状態は状態ベクトルで表現されます。

1量子ビットの量子状態

計算規定となる2状態の重ね合わせで表現されます。

$
\mid \Psi \rangle = \alpha \mid 0 \rangle + \beta \mid 1 \rangle
$

上記で観測確率の満たす条件は、確率振幅と呼ばれる係数によって決まります。

$
|\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1
$

2量子ビットの量子状態

テンソル積というものを利用して4量子ビットの状態を表現します。量子ビットの状態ベクトルを組み合わせて表現します。

$
\begin{eqnarray*}
\mid \Psi_1 \rangle \otimes \mid \Psi_2 \rangle &=& (a\mid0\rangle + b\mid1\rangle) \otimes (c\mid0\rangle + d\mid1\rangle) \\
&=& ac\mid0\rangle\otimes\mid0\rangle + ad\mid0\rangle\otimes\mid1\rangle + bc\mid1\rangle\otimes\mid0\rangle + bd\mid1\rangle\otimes\mid1\rangle \\
&=& ac\mid00\rangle + ad\mid01\rangle + bc\mid10\rangle + bd\mid11\rangle
\end{eqnarray*}
$

n量子ビットの量子状態

n量子ビットの量子状態は$2^n$の状態の重ね合わせで表現します。上記の2量子ビットを単純にnの量子ビットのテンソル積に拡張します。

量子エンタングルメント(もつれ)状態

片方の状態が確定するともう片方も確定する状態です。CXゲートとHゲートを使ってベル状態などの量子エンタングルメント状態を作り出すことができます。

$\mid \Psi \rangle = \alpha\mid00\rangle + \beta\mid11\rangle$

量子ゲート

量子計算は、ユニタリーオペレータUを利用して量子状態を変化させることで行います。通常これを連続させて計算させています。

$\mid \Psi(t_2)\rangle = U_{12}\mid \Psi(t_1)\rangle$

ユニタリーオペレーター

ユニタリーオペレーターは下記のような特徴があります。

・固有値の絶対値が1($e^{i\phi}$で表現できる)
・正規行列でスペクトル分解可能 $UU^\dagger = U^\dagger U = I$

量子ビットへのユニタリ操作はブロッホ球上での回転操作に対応します。

量子ゲートの性質

量子ゲートのユニタリーオペレーターUは線形演算子で、重ね合わせ状態に線形にかかります。

$
U\mid \Psi \rangle = U(\alpha\mid0\rangle+\beta\mid1\rangle) = \alpha(U\mid0\rangle)+\beta(U\mid1\rangle)
$

代表的な量子ゲート:パウリXYZゲート

上記のユニタリーオペレーターで代表的な量子ゲートを紹介します。ユニタリーオペレーターは単純な行列の形式で表現ができます。

Xゲート

$
X\mid a\rangle = \left[
\begin{array}{rr}
0 & 1 \\
1 & 0
\end{array}
\right] \mid a \rangle = \mid \bar{a}\rangle
$

Yゲート

$
Y\mid a\rangle = \left[
\begin{array}{rr}
0 & -i \\
i & 0
\end{array}
\right] \mid a \rangle = (-1)^a i\mid \bar{a}\rangle
$

Zゲート

$
Z\mid a\rangle = \left[
\begin{array}{rr}
1 & 0 \\
0 & -1
\end{array}
\right] \mid a \rangle = (-1)^a\mid a\rangle
$

代表的な量子ゲート:アダマールゲート

Z軸上の古典表現から重ね合わせ状態へと移動するのに通常Hゲートが使われます。

$
H = \frac{1}{\sqrt{2}}\left[
\begin{array}{rr}
1 & 1 \\
1 & -1
\end{array}
\right]
$

代表的な量子ゲート:CNOTゲート

2量子ビット同士の操作のできるゲートがあって初めて高速性が実現できそうです。CNOT/CXゲート。

$
C_{12} = \left[
\begin{array}{rrrr}
1&0&0&0\\
0&1&0&0\\
0&0&0&1\\
0&0&1&0
\end{array}
\right]
$

測定・観測

測定を通して量子状態を古典状態にして古典ビットの値0か1を得られます。数学的には状態ベクトルを見ることで最終的な解の分布を見ることができます。状態ベクトルは複素数で表現されますので、まず絶対値をとってから二乗することで解の出現確率を求めることができます。

簡単ですがざっくりと確認を行ってみました。以上です。

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